1)にんにくのような強い香りが特徴の山菜『行者ニンニク』
1−1)幻の山菜 行者ニンニク
行者にんにくは、シャキシャキした食感と、にんにくのような強い香りが特徴の山菜です。滋養強壮効果が高いネギ属の多年草で、その昔、山で修行をする行者が活力源として食べていた事から、行者にんにくという名前が付けられたとされています。名産地の北海道では、アイヌネギとも呼ばれています。
行者にんにくは天然物と栽培物の2種類があり、一般的にスーパーなどに流通するのは栽培物になります。天然物は北海道などの涼しい気候の場所でしか育たず、天然物を見つけ出すことはなかなか困難と言われています。また、近年では豊富な栄養価や滋養強壮効果による人気ゆえに乱獲され、天然物が減少していることや、収穫のタイミングも一週間ほどしかないことから、幻の山菜とも呼ばれている貴重な山菜です。
1−2)行者ニンニクの食べ方
行者にんにくは定番の醤油漬けや行者にんにく味噌を始め、豚バラ肉と炒めたり、パスタのペペロンチーノの具材にするなど、様々なレシピでアレンジを楽しめます。長期保存したい方は醬油漬けや、行者にんにく味噌に加工するのがオススメです。なお、行者にんにくは鮮度が命ですので、収穫後はその日のうちに調理してください。冷蔵庫で保存する場合は、キッチンペーパーを湿らせて、根元を包んで保存すると、約1週間ほど保存が可能です。
2)行者ニンニクの栽培(育て方)
2−1)食べるまでに長い月日を要す 行者ニンニク
行者にんにくは種から育てた場合、収穫できるまで3年から5年以上かかる山菜です。最短で3年物から収穫が可能ですが、収穫してしまうと、苗がやせてしまい、元の大きさに戻るまで2年程かかります。そのため、若葉が2枚以上となり、茎が割り箸ほどの太さになる、5年以降から収穫するのを推奨しています。
2−2)行者ニンニクを種・苗・根から育てる
行者にんにくを栽培する場合、種、苗、根の3つの方法があります。
種から育てる場合)
収穫できるまで一番年月を要する方法です。行者にんにくは4月になると、2枚葉と3枚葉になる行者にんにくが出てきます。3枚の葉の方に種を実らす蕾が付きますので、種を採取する場合は、若葉を収穫しないようにします。緑色の種が黒くなった時が、種採取のタイミングです。種を採取したら、種と殻を選別し、種を畑に撒きます。発芽が成功すれば、翌春に発芽し、1枚葉の1年目の行者にんにくが顔を出します。発芽率は30%〜50%と言われています。種から育てる場合は、収穫できるまでは最低でも3年掛かりますので、収穫用と栽培用の畑を分けて栽培するのを推奨します。
苗から育てる場合)
行者にんにくの時期になる3月下旬から4月になると、ホームセンターや通信販売で行者にんにくの苗の販売が始まります。畑やプランターに植え替えするだけなので、簡単に行者にんにくの栽培を始められます。4年〜5年物以上の苗根は翌春から収穫も可能ですので、初心者の方にオススメの方法です。
根から育てる場合)
行者にんにくは根から育てるのも可能です。根から育てる場合は、葉が枯れる9月以降、インターネット等で苗根の販売が始まります。植え付けから7年〜8年経過したものや、10年物の根も販売されています。秋口に畑に植えて、翌春に収穫を楽しみたいのであれば、4年〜5年物以上の苗根がおススメです。翌春から収穫したい、数を増やしたいという方は、根から育ててみてはいかがでしょうか。多年草の栽培では、数年成長した苗根を購入して栽培するのが、最も確実な方法です。
2−3)行者ニンニクの増やし方
行者にんにくの最も簡単な増やし方は、株分けして増やす方法です。種から増やすこともできますが、年月を要しますので、株分けが一番簡単な方法です。株分けの時期は、葉が枯れた後の8月下旬から9月頃となります。畑に植えている行者にんにくの株を、根を切らないように掘り起こし、複数個の苗根がまとまっている状態から一つずつ手で割って、一株ずつ植え付けします。株分けをくり返していくことで、行者にんにくを増やしていく事が出来ます。
2−4)行者ニンニクの栽培で良くある質問
植え付けに適している場所は?)
半日陰で水はけの良い場所が適しています。行者にんにくは夏場の直射日光や乾燥に弱い植物ですので、直射日光が当たる場所は避けます。直射日光が当たる場所の場合は、遮光ネットを貼って暑さ対策をします。遮光ネットを貼れない場合は、行者にんにくの周りの雑草をあえて刈り取りせず、高刈りをすることで、半日陰の状態を作ることができます。
行者にんにくの適切な収穫のタイミングは?)
収穫時期は4月〜5月頃になります。葉っぱが垂れてしまう前の、柔らかい若葉の頃に収穫ください。行者にんにくは2枚葉と3枚葉になる行者にんにくがあります。3枚葉の方は種を実らす蕾が付きますので、3枚葉の方は収穫せず、2枚葉の方を収獲します。
暖地でも栽培できますか?)
行者にんにくは北海道や東北など、夏の気温が25℃以下の寒冷地でしか育たない植物です。ただし、本来は山の中に自生するほど、丈夫な植物です。近年は東北地方でも夏の気温が30℃を超えることが多いですが、その環境下でも育っていますので、暖地での栽培も可能と言われています。ただし、直射日光に弱い植物ですので、暖地で栽培する場合は、直射日光が当たらない日陰の場所や、遮光ネット等を設置して、行者にんにくの栽培に最適な環境を用意する必要があります。
行者にんにくの苗はどこで購入することができますか?)
ポット苗は4月以降、種や苗根は9月からインターネット等で購入することができます。
3)行者ニンニクの苗・根の販売
あまねでは、種から育てた行者にんにくのポット苗と、3年以上経過した行者にんにくの苗根を販売しております。
3−1)行者ニンニクの苗紹介
3−2)行者ニンニクの根紹介
苗根は種から芽出しした1年目のポット苗と違い、畑に定植後の翌春から収穫が楽しめるのが特徴です。3年〜4年物、5年〜6年物、7年〜8年物の3種類を販売しております。
3年~4年物の行者ニンニク根)
5年~6年物の行者ニンニク根)
7年~8年物の行者ニンニク根)
植え付けしてから7年〜8年経過した貴重な太サイズの苗根を数量限定で販売しています。行者にんにくは植え付けから年数が経過し、苗根が太くなるようにじっくりと育てたものほど生葉の茎も太く、食べ応えがある行者にんにくになります。秋に植え付けた後、翌春から収穫が楽しめます。
西根の森 行者にんにく 苗根 7年~8年物 20本
4)行者ニンニクの栽培のまとめ
行者にんにくは毎年収穫が楽しめる植物です。栽培する場所に気を付ければ、寒冷地以外の場所でも栽培する事ができます。家庭菜園初心者の方でも、畑やプランターに植えるだけで、簡単に行者にんにくの栽培を楽しめますので、ぜひ、行者にんにくを栽培してみてはいかがでしょうか。